文化 · 220年頃

(てんろん・ろんぶん)

典論・論文

文化220年頃

解説

曹丕が著した文学論。

中国最古の文学批評書として知られ、「文章は経国の大業、不朽の盛事なり」という一節は文学の価値を高らかに宣言した名言として後世に伝わる。

建安七子の文学を論評し、各人の長所と短所を鋭く分析した。

文学史上きわめて重要な著作である。

POEM

典論・論文

作:曹丕

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文人相軽、自古而然。傅毅之於班固、伯仲之間耳。而固小之、与弟超書曰:武仲以能属文為蘭台令史、下筆不能自休。夫人善於自見、而文非一体、鮮能備善。是以各以所長、相軽所短。里語曰:家有弊帚、享之千金。斯不自見之患也。今之文人、魯国孔融文挙、広陵陳琳孔璋、山陽王粲仲宣、北海徐幹偉長、陳留阮瑀元瑜、汝南応瑒徳璉、東平劉楨公幹。斯七子者、於学無所遺、於辞無所仮。咸以自騁驥騄於千里、仰齊足而並馳。以此相服、亦良難矣。蓋君子審己以度人、故能免於斯累而作論文。王粲長於辞賦。徐幹時有斉気。然粲之匹也。如其体弱。孔融体気高妙。有過人者。然不能持論。理不勝辞。至於雑以嘲戯。及其所善。揚班儔也。陳琳阮瑀之章表書記。今之隽也。応瑒和而不壮。劉楨壮而不密。孔融等已逝。唯幹著論。成一家言。文章経国之大業。不朽之盛事。年寿有時而尽。栄楽止乎其身。二者必至之常期。未若文章之無窮。是以古之作者。寄身於翰墨。見意於篇籍。不仮良史之辞。不托飛馳之勢。而声名自伝於後。
現代語訳

文人は互いを軽んじる、古来よりそうであった。傅毅と班固は伯仲の間であるのに、班固は傅毅を小さく見て、弟の超への手紙に「武仲は文を作ることができて蘭台令史となったが、筆を下ろすと自ら止めることができない」と書いた。人は自分の長所を見せたがるが、文章は一つの体裁ではなく、全てに優れることは稀である。それ故に各々が長所をもって短所を軽んじる。里の言葉に「家に古い箒があれば、千金に値すると思う」とある。これは自分を客観視できない弊害である。(中略)文章は経国の大業、不朽の盛事なり。年寿には尽きる時があり、栄楽はその身に止まる。この二つは必ず至る常の期限である。文章の無窮なるには及ばない。それ故に古の作者は翰墨に身を寄せ、篇籍に意を見せた。良史の辞を仮らず、飛馳の勢いに托さずして、声名は自ら後世に伝わる。